ウクレレの塗料
一般的な楽器用の塗料にはいくつかの種類があります。
ラッカー、ポリウレタン、ポリエステルなどです。その他にもシェラックや漆(両方ともラッカーの仲間です)、オイルフィニッシュ(蜜蝋や亜麻仁油を原料にする)もありますし、最近ではUV塗料(紫外線を当てることで硬化する)なんてのも増えています。
ラッカーは、古くからある1液性の塗料で、樹脂(ニトロセルロース)を揮発性の溶剤に溶かしたものです。薄い塗膜が特徴です。木になじみやすいので楽器に適していると言われますね。
いわゆる「ラッカー神話」みたいなのもありますが、厚く塗りすぎればウレタンなどとあまり変わらなくなってしまうように思います。
1回のスプレーで乗る塗膜の厚みは30~40ミクロンと言われます。10回塗ってやっと0.3ミリ。それを平らに研磨すると残りは0.15ミリ前後になります。しかも、乾燥が必要なので1日に塗れるのは多くても4~5回程度です。きちんと鏡面仕上げにするにはかなりの根気が必要です。
一般的に売られているのはアクリルラッカーが多く、名前のとおりアクリル樹脂が入っています。このラッカーは完全なニトロセルロースラッカーに比べて多少硬い塗膜に仕上がります。
ウレタン系の塗料は、いわゆる化学合成で作られた2液型塗料です。正確にはポリウレタンですね。
主剤と硬化剤があり、分けて保管しないと固まってしまいます。分けて保管してあっても長い期間置くと硬化してしまうため、少量生産の工房では使いにくい塗料です。
ラッカーに比べて塗膜が厚く乗るので、量産に向いています。ポリエステルはさらに厚塗りが出来、量産のエレキギターなどに良く使われます。一概にウレタンが悪いわけではなくて、薄く仕上げる事が出来れば充分楽器に使える塗料だと思います。要は腕次第、でしょうか。
シェラックや漆、蜜蝋、亜麻仁油はすべて自然の素材ですね。他に柿渋なんてのもあり、T's Guitarsでも現在実験中です。
最近は環境に対する配慮が求められていまして、トルエンやキシレンを含んだ有機溶剤は使用が規制され始めました。
ラッカーやウレタンは有機溶剤無しでは使えない塗料ですので、ここ10年ほどのうちには代替塗料を探す必要があります。アメリカのカリフォルニアではすでに有機溶剤の使用が制限されていまして、楽器メーカーは水性の塗料やUV塗料(ウルトラバイオレット=紫外線を当てることによって硬化する塗料です。)を盛んに使っています。
T's Guitarsでは昨年からすでにトルエン、キシレンの少ない塗料に切り替えています。環境にやさしいUV塗料の機器(これが高いんです!)も導入して実験中です。ナチュラルな日本古来の漆や柿渋もどんどん使って行きたいですね。
可愛いウクレレを作るために地球の環境を壊してしまったんじゃ悲しいですからね。
コア
ウクレレの材料の木の名前で「コア材」といいます。ハワイで生産されているウクレレは「コア材」を使ったものが多いですが、価格もそれなり…。伐採によりかなり貴重になっているそうである。音質はカラリとしており、ウクレレらしいサウンドを出します。